ビルや都市空間の3Dデータを利活用した事業価値創出に貢献
株式会社stu および 渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトは、KDDI株式会社が2021年4月1日から8月17日の間に実施したKDDI DIGITAL GATE(注1)の5G環境と「AWS Wavelength」(注2)を活用し、スマートフォンでビルや都市空間のデジタルツインを体験できるVR表現技術の実証実験に協力しました。
本実証実験は渋谷区の都市空間を題材として実施され、今後はビルや施設などの建築物や都市空間の高精細な3Dデータを利活用した 新たな事業価値を創出し、不動産業界などさまざまな分野での活用を目指します。
本実証実験の背景
KDDIは、これまで5Gなどの技術による都市課題の解決とエンターテインメントの活性化を目標に、株式会社stuや渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトと連携し、「SUPER DOMMUNE tuned by au 5G」における安心・安全なライブ・ストリーミング環境の整備や、これらを活用した音楽ライブのAR演出などに取り組んできました。本実証実験では5Gと「AWS Wavelength」を活用し、新たな事業創造を目指すこととしました。
本実証実験について
1.概要
5Gと「AWS Wavelength」上のGPUインスタンス(注3)によるサーバーサイドレンダリング(注4)を活用することで、パソコンやワークステーションで実行処理が必要な大容量の3Dデータや、ハイエンドなグラフィックスで構成した「商業施設空間」「都市空間」「ライブコンサート空間」などの建築データを仮想空間としてスマートフォン上で表示できるシステムを構築しました。
2.特長
・5Gと「AWS Wavelength」を活用することで、より低遅延でストレスのない映像伝送やインタラクションを実現します。
・サーバー上で実行されているソフトウェアをリモート操作し、レンダリングされた映像を視聴端末に5Gでストリーミングする方式を採用しているため、大容量のデータを事前にダウンロードする必要がなくコンテンツを体験できます。
・3Dデータの再現に、Unity Technologies(所在地:米国サンフランシスコ、CEO:John Riccitiello)が提供する高精細レンダリングパイプラインHigh Definition Render Pipeline (HDRP) を採用し、アプリケーションの実行をサーバーサイドで行っているため、モバイル端末でも高精細レンダリング パイプラインが使用可能となっています。
3.想定するユースケース
(1)ユーザーが直感的に把握できるシミュレーション環境
高精細なビルや都市空間の建築用3Dデータを仮想空間で再現し、空間の大きさや素材の質感のほか、日光の向きを反映した影の再現も可能なため、不動産業界などでシミュレーションを行う際の活用に期待できます。
(2)現実世界に近いエンターテインメント体験
バーチャルヒューマンやボリュメントリックビデオ(3Dビデオ)など、写実的なコンテンツを活用した仮想空間におけるエンターテインメント体験が可能です。現実世界の体験により近いコンテンツを幅広いお客さまにスマートフォン上で体験できます。
(注1)KDDIが2018年9月にオープンしたIoT、5G時代のデジタル開発拠点です。
詳細はこちら(https://biz.kddi.com/digitalgate/)をご参照ください。
(注2)「AWS Wavelength」は、アマゾン ウェブ サービス (AWS) のコンピューティングサービスとストレージサービスをau 5Gをはじめとする5Gネットワークのエッジに組み込むことで、機械学習、モノのインターネット (IoT)、動画やゲームのストリーミング配信など、超低遅延が求められるエッジコンピューティングの活用を支援するサービスです。
(注3)アマゾン ウェブ サービス (AWS)の提供するAmazon EC2において、GPUを搭載したインスタンスを使用することで、高速なグラフィックス処理を行うことが可能となります。
(注4)本リリースにおいては、サーバー上でプログラムを実行してコンテンツ描画まで行うことを指します。プログラムを実行するための負荷が高い処理はサーバー上で行い、サーバー上で描画したコンテンツ(処理結果)のみスマートフォンにストリーミングして表示することで、スマートフォンの処理負荷を軽減することが可能となります。
※Amazon Web Services、AWS、AWS Wavelengthは、米国およびその他の諸国における、Amazon.com, Inc.または その関連会社の商標です。