渋谷の街が音楽プレーヤーになる
多様な音楽と人がスクランブルする、渋谷音楽祭2019。その開催に合わせ「音楽」をテーマにした実証実験を行う。
駅から放射線状に広がる各ストリートはそれぞれが異なる文化を持ち、様々な音楽が集まる。
だからこそ、テクノロジーをインストールし、街と連動した音楽体験を設計。
街歩きをより楽しむことができる施策を通じて、音とテクノロジーによる渋谷の拡張を開始する。
実証実験
街と共鳴する「渋谷のBGM」
Audio Scape
多様なカルチャーを持つ渋谷の街と連動したBGMが流れる「Audio Scape」。2019年9月に行われた「渋谷5Gエンタメテック会議」で実際にディスカッションされたアイデアをもとに、街を通じてプレイする音楽体験を開発。渋谷の5つのエリアに行きAudio Scapeにアクセスすると、現在位置や時間・気分からAIが解析し、それぞれのエリアが持つ世界観やカルチャーに合わせた音楽が流れだす。
「音×テクノロジー×街」による新たな施策を生みだす上で、参考にしたのはテレビゲームの体験設計である。「冒険が始まった時の音楽」「ラスボスが来た時の音楽」「勝利した時の音楽」など、ステージや進行状況によってBGMを変化させ、ユーザーにより楽しい瞬間を提供している。
この仕組みを参考に開発した「Audio Scape」。5G時代の到来に向けさらなる進化も視野に入れている。訪れた時の街の状況ともっと連動させることができれば、この施策は街歩きをより楽しくするための次世代サービスとなりうるだろう。今回の実験は、その第一歩である。
渋谷の対象エリアに近づいてスマホを開き、ウェブ上でAudio Scapeにアクセス。現在位置・時間・天気・気分に合わせ、今いる場所に合わせた音楽が流れ出す。
現在、AR(拡張現実)による施策は「視覚」を中心に設計されているものが多いが、これからは聴覚や嗅覚をベースとした拡張も、XR体験において重要な要素となるだろう。
今回フォーカスを当てたスポットは、上記の5エリア近辺。そのエリアの世界観・カルチャーにあった音楽が、スマホから流れ出す。さらに、例えばシーズナルイベントに合わせた楽曲の再生。目の見えない人や訪日外国人向けのリスニングインフォーメーション。位置情報と連動した店舗のお得情報の再生。ランニングしている人、通勤の人、街遊びの人といった目的に合わせた音楽の設計・再生。誕生日の歌といったパーソナライズされた音の再生。アーティストによる新しい形の新曲プロモーションなど、「超高速・大容量通信 / 多数同時接続 / 超低遅延」の5Gが普及すれば、もっと渋谷の街と連動した音楽体験を提供することができ、街の回遊性を高めることが可能となるだろう。
※「Audio Scape」は、KDDIと株式会社デジタルガレージとの戦略的提携の一環として2018年より参画したオープンイノベーション型研究開発組織「DGLab」(https://www.dglab.com)が開発した音に関するウェブAR技術と、株式会社coton(https://coton.tech)および東京藝術大学により共同開発された音楽生成サービス「soundtope」を使用しています。
協力:PARCO、東急株式会社